ヘラバヒメジョオン 茎断面
ヘラバヒメジョオンの枝をカミソリで長軸と水平または垂直に切断した肉眼写真です。1枚目は垂直断面花側、2枚目は同じ標本の反対側、3枚目は別部位の水平断面です。ハルジオンは茎が中空、ヒメジョオンの仲間は主に密で中空もあるとされており、この像からハルジオンではないことが確認できます。
垂直断面
茎表面には小さな隆起があり、そこから透明あるいは白色の小さな毛が生えています。内部は中実で3層構造となっており、中央部は多角形の白色蜂巣状、中間部は多角形の明緑色蜂巣状、周辺部は多角形の緑色で白色および明緑色の円形から類円形あるいは半円形等の領域がほぼ等間隔で円筒状一列に配列しています。中央部と中間部は色以外は類似した構造であり、茎表面の突起は周辺部と連続して見えます。
葉の形態からヘラバヒメジョオンは双子葉植物なので、中央部と中間部は髄、周辺部は皮層と考えられます。周辺部の白色および明緑色の円形から類円形領域は内側の白色が木部(道管)、外側の明緑色が篩部(篩管)と考えられます。
ヒメジョオンでは髄は白色となることが有名ですが、このヘラバヒメジョオンのこの茎は中央部と中間部で白と緑に分かれていました。この理由がヘラバヒメジョオンの特徴なのか、アーティファクトあるいは茎の太さや栄養条件等によるものなのかはまだ調べられていません。
水平断面
垂直断面に対応した組織が茎の中で連続していることが確認できます。なお髄の白色部分の幅が変化していることは断面が中央からずれたことによるアーティファクトかもしれないので、実際に変化するかどうかはある茎の複数断面を評価する必要があると考えています。