セイタカアワダチソウは頭状総状花序
以前の投稿でセイタカアワダチソウ (Solidago canadensis var. scabra)の円錐花序 (panicle, panicle inflorescence)が頭状総状花序 (head-raceme, head-raceme inflorescence)か頭状穂状花序 (head-spike, head-spike inflorescence)か分からないと書きましたが、実物を確認したところ頭状総状花序でした。
頭状総状花序と頭状穂状花序の違いは頭状花序 (head, head inflorescence)の配列が総状花序 (raceme, raceme inflorescence)となるか穂状花序 (spike, spike inflorescence)となるかです。総状花序と穂状花序の違いは花柄 (peduncle)の有無であり、花柄があれば総状花序、花柄がなければ穂状花序とされます。
円錐花序の写真を見ると最初に茎 (stem)から枝 (branch)(花柄)が伸び、その花柄と小花 (floret) の間には短いですが花柄(この場合は花柄から伸びる花柄なので小花柄 (pedicel))が認められます。従って、小花柄の属する花序は総状花序であり、頭状花序であることを踏まえると頭状総状花序であることが分かります。
なお花序 (inflorescence)にはこれら以外もいくつかの種類がありますが、ここでは割愛します。
混乱していた際に参考にしていた文献は下記の通りでした。全体は確認しておらず、また正誤にも記載がないのでもしかしたら自分の観察が間違っているかもしれませんが、今後調べる方の参考になればと記載します。
セイタカアワダチソウの花序の記載
『写真で見る植物用語』(岩瀬徹・大野啓一著、第三版、全国農村教育協会) | 記載なし |
『観察する目が変わる植物学入門』(矢野興一著、初版、ベレ出版) | 頭状穂状花序と記載 |
以下は地上部 (terrestrial part?)全体と蕾 (bud)の写真です。一見、蕾では花柄がなく穂状花序に見えますが、基部の蕾には小花柄があることが分かります。
追記 数日後に見かけた別の場所のセイタカアワダチソウは散状花序になっていました。茎を切られて再生したので成長が整わずに花序が変化したものと想像しています。
追記2 イネ科やカヤツリグサ科などの小穂を作る植物では小穂を花序として扱い、小穂の配列を花序と呼ぶそうです。真の花に相当する小穂の中の花は小花として扱われます。