ナメクジの這った痕と広東充血線虫の生活環
樹木の幹に生えた苔をナメクジが這った痕。
Wikipediaで調べるまで知りませんでしたがナメクジの下側は「足」と呼ばれ、その前端内側に粘液腺の一種suprapedal glandあるいはmucous pedal glandがあり足を覆う粘液を分泌するそうです。深く考えたことがありませんでしたが、彼らもヒトの唾液腺や胃底腺のような腺組織を持つらしいです。
最近はナメクジを丸呑みして広東住血線虫(Angiostrongylus cantonensis)に感染する例も報告されているそうです。広東住血線虫は生存と繁殖に中間宿主(一部のナメクジ、カタツムリ)と終宿主(ドブネズミ、クマネズミ)を必要としており、人がナメクジを丸呑みすると幼虫は終宿主と間違えて脳を含む中枢神経系へ移行してしまい、発症します。日本でも生活環(中間宿主、終宿主、それらの接触)は成り立っており存在も確認されているそうですが、中間宿主および終宿主の密度が制御されていること、現在の感染率が高くないだろうことから極端に恐れる必要はないかと思います。一方で、中間宿主や宿宿主が増えればいつでも牙を剥く警戒すべき病原体でもあります*1。
ナメクジの粘液に広東住血線虫がいるかどうかは分かりませんでしたが、存在しないとの文献は少なくとも見当たらないので、粘液が付いている生野菜、即ちナメクジが付いている可能性のある生野菜を注意しても損はないと思います*2。