切り株に生えていた担子菌子実体の傘裏側接写
切り株に生えていた担子菌子実体(キノコ)の傘裏側接写。写真の傘は外れて地面に落ちていましたが、明らかに生えているものと同じと判断しました。2019年1月上旬撮影。
傘の形態
傘は大型で厚い扇形、無柄でした。
裏側は円形から多角形の針先大穴(孔)が密に並んでおり、その壁は表側より濃い柿色でした。この孔が子実体の裏側を占めることから、孔は管孔であり、開口部は孔口であると判断されます。
表側(追加写真)は淡柿色で平滑でした。
考察
形態・色彩からサルノコシカケ科を疑います。さらに子実体が赤色であることからヒイロタケとシュタケを鑑別に挙げます。
この二択であれば管孔の大きさ、即ちシュタケは肉眼で十分確認でき、ヒイロタケはできないことから、ヒイロタケと考えられます。また、市街地で観察されるのはヒイロタケであり、シュタケは寒冷地に生息することからもヒイロタケが濃厚と考えます。
ただ、実際には鑑別候補が挙げられず属以下は分かりませんでした。
備考
切り株から生えている構造物が傘(pileus)を持ち無柄のキノコ形をしていることから担子菌の子実体(しじつたい、sporocarp、fruiting body、fruit body、fruitbody)であることが分かります。一般に傘の裏側の形態にはひだ(lamella)、管孔(tube)、針(spine)があり、それらは胞子形成機能から子実層托(hymenophore)と総称されます。この子実体の子実層托は管孔であり、傘の裏側を拡大すると孔口(pore)がびっしりと並んでいました。